弘果総研りんご高密植栽培の雪害調査の概要 

1 積雪状況

気象台が発表している「弘前」の観測データで、令和6年度の最深積雪は、1月上旬から3月上旬までの間で100㎝前後の状況が続き、2月23日には最大160㎝に達した。
試験園地の主幹高の平均値は、次のとおりであり、この最大の積雪時には主幹の高さの概ね4割から5割の高さに達していることが伺える。
 ・モデル園 定植2年目主幹高 290㎝
 ・生産者共同方式園地
       定植6年目主幹高 413㎝
       定植4年目主幹高 362㎝
なお、各園地では雪害対策のために消雪剤の散布を数回実施している。

▲モデル園(1/18撮影)
▲弘前下湯口(2/28撮影)

2 調査方法

調査方法は、りんご研究所が実施している調査要領を参考に、次のとおり実施した。
① 調査日 令和7年4月14日
② 調査内容
 ・ 標本調査:側枝の「枝折れ」の被害の確認にあたり、標本数を、経営モデル園が60本、共同方式試験園地が各5本の計40本とした。
 ・ 確認方法は、標本果樹の主幹長の地面から180㎝(最深積雪相当)までの間の側枝の総本数のうち、枝折れ被害数の割合を算出した。

▲枝折れ被害率の調査範囲
▲枝折れ被害の様子

3 調査結果の概要

〇 標本調査による「枝折れ被害(調査範囲 地上180㎝まで)」は、全ての側枝数1,395本のうち被害数は102本(被害率7%)であった。このうち、経営モデル園の枝折れ被害が73本あったが、これはまだ定植1・2年目の幼木であるため、側枝の枝が柔らかく、積雪内で引っ張られて折れたものである。
〇地上180㎝を超える部分での枝折れ被害は全ての園地で見受けられず、これは高密植栽培の側枝は細く、地面方向に誘引していることもあり、雪が枝に堆雪しにくいためと思料される。

4 令和7年産への影響及び今後の対策

経営モデル園は、定植1・2年目の幼木で、側枝の数や着果量そのものが少ない年次であるため、今回の枝折れ被害による令和7年度産の収穫への影響は限定的である。なお、枝が折れたり裂けたりした部分は回復処置を行うとともに、新たな側枝発生を促す。
生産者共同方式園地は、枝折れ被害が僅かで、収穫への影響は限定的と思われる。
本調査結果から高密植栽培における今後の雪対策は、側枝への堆雪状況に応じて消雪剤を散布することとし、特に、定植1・2年目の幼木の管理に注意を払う必要がある。