りんご高密植栽培試験事業
2021.01.18
■りんご高密植栽培とは
りんご高密植栽培は、「トールスピンドルシステム」とも呼ばれ、イタリア・南チロル地方を中心に米国や韓国でも取り組まれており、単位面積当たりの植栽本数を今まで以上に多くして、より早期多収と高収量を目指す栽培方法をいいます。
また、定植後の作業の省力化、管理の低コストも魅力とされています。
■弘果総研試験園地開設
弘果総合研究開発では、りんご高密植栽培を県内に広めていくことを目的に、生産者に対し初期投資費用の一部補助を行い、共同方式により試験園地を開設し、栽培研究とそのPRを行っています。
【試験園地の概要】
開設時期 |
2019年(平成31年)4月定植 |
2021年(令和3年)4月定植 |
場 所 |
3地区 (青森市浪岡地区、藤崎町藤崎地区、弘前市三和地区) |
6地区 (弘前市下湯口地区・緑ケ丘地区・独狐地区、藤崎町林崎地区・西村井地区、板柳町灰沼地区) |
数 量 |
715本/20a |
996本/30a |
品 種 |
宮美ふじ |
宮美ふじ |
■弘果総研りんご高密植栽培研究会発足
2021年(R3)7月に、試験園地の生産者9名と弘果総研、原田種苗が構成メンバーとなり、「弘果総研りんご高密植栽培研究会」(田中一幸会長)が発足しました。
本会は、りんご高密植栽培の栽培技術向上、普及促進、関係者の交流を図ることを目的に、研修会の開催、生育調査、肥大調査、栽培試験の情報交換会などを行っています。
【県民対話集会「#あおばな」開催】
2024年6月22日青森県主催の県民対話集会「#あおばな」が、青森市浪岡の試験園地で開催され、宮下宗一郎知事と研究会メンバーが車座となってトークが繰り広げられました
※「#あおばな」の開催状況はこちらのリンクから
■試験栽培の状況
試験栽培の状況 |
●概況 3園地とも樹勢は順調に生育しており、うち2園地は定植2年目で初収穫、残りの1園地でも定植3年目で初収穫が行われました。
●定植5年目 2023年産(R5) 樹勢(10月調査、3園地平均) 主幹長 387cm 幹 周 12.6 cm 幹直径 4.0 cm 果実肥大調査 全体的に品質、食味とも良好 収量平均 282(5.6t)/10a換算 果実調査平均値 重量 344 g 硬度 14.3 1b 糖度 13.7 % 日焼け(聞き取り) ほとんどなし
●定植4年目 2022年産(R4) 樹勢(11月調査、3園地平均) 主幹長 387cm 幹 周 11.1 cm 幹直径 3.7 cm 果実肥大調査 全体的に品質、食味とも良好 収量平均 226(4.5t)/10a換算 果実調査平均値 重量 357 g 硬度 13.8 1b 糖度 13.5 % つる割れ平均(聞き取り) 6.7% 日焼け(聞き取り) ほとんどなし
●定植3年目 2021年産(R3) 樹勢(10月調査、3園地平均) 主幹長 351cm 幹 周 9.6 cm 幹直径 3.0 cm 果実肥大調査 扁平果も見られたが、全体的に品質、食味とも良好 収量平均 90箱(1.8t)/10a換算 果実調査平均値 重量 311 g 硬度 16.9 1b 糖度 15.2 %
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●概況 6園地とも樹勢は順調に生育しており、全ての園地で定植2年目で初収穫が行われました。
●定植3年目 2023年産(R5) 樹勢(10月調査、6園地平均) 主幹長 335cm 幹 周 8.8 cm 幹直径 2.8 cm 果実肥大状況 全体的にやや小玉傾向、食味は良好 収量平均 80箱(1.6t)/10a換算 果実調査平均値 重量 342 g 硬度 15.3 1b 糖度 14.8 % 日焼け(聞き取り)ほとんどなし
●定植2年目 2022年産(R4) 樹勢(11月調査、6園地平均) 主幹長 283cm 幹 周 7.2 cm 幹直径 2.3 cm 果実肥大状況 全体的に品質、食味とも良好 収量平均 37箱(0.8t)/10a換算 果実調査平均値 重量 342 g 硬度 15.1 1b 糖度 14.8 % つる割れ平均(聞き取り) 12.2% 日焼け(聞き取り)ほとんどなし
●定植1年目 2021年産(R3) 樹勢(10月調査、6園地平均) 主幹長 211cm 幹 周 5.4 cm 幹直径 1.7 cm 果実肥大調査 1年目のため「収穫なし」
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生産者の声 |
【2023年度産の主な個別の感想】 ・丸葉、わい化に比べて日焼け果、鳥害が少なかった。 ・ネズミ被害があった。 ・葉とりや除草剤散布のタイミングが難しい。
【2022年度産の栽培感想】 全体的に、9名の生産者の多くが「栽培管理がしやすい」、「作業効率が良い」、「栽培コストが安い」、「品質に満足」といった感想を述べている。
【個別の主な感想】 ・ツル割れを2~4%に抑えることができた。 ・日焼けがほとんどなかった。 ・わい化、丸葉と比べて草刈りが楽だった。 ・日当たりが良いため葉取りのタイミングが難しい。 ・わい化、丸葉と比べて玉伸びが良かったが、その分つる割れも多かった。
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■りんご高密植栽培に関する論文
公益財団法人青森学術文化振興財団が主催する「令和3年度懸賞論文事業」に、弊社、経営企画室の榮田研究員が応募した論文「りんご高密植栽培の確立で移住者を農業へ」が入賞し、同財団のホームページに公開されました。
【財団ホームページリンク:懸賞論文事業 – 公益財団法人青森学術文化振興財団 (sakura.ne.jp)】